碧海特許事務所
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特許権の成立要件
 特許権の成立要件とは、発明が特許を受けるために満たす必要のある要件です。具体的には次の要件を全て満たす必要があります。

主体的要件
 出願人が満たす必要のある要件であり、出願人は特許を受ける権利を有することが必要です。
 ・特許を受ける権利は発明者に帰属するため、発明者は出願人になることができます。
 ・特許を受ける権利は譲渡が可能であるため、従業員である発明者から特許を受ける権利の譲渡を受けて、発明者の使用者(社長、企業)が出願人になることもできます。

客体的要件
 発明自体が満たす必要のある要件であり、特許法で次の8つの要件が規定されています。実際の出願で問題となるのは、主に(3)の新規性、と(4)の進歩性です。
(1)特許法上の発明であること(発明と特許権参照)
(2)産業上利用することができる発明であること
(3)新規性があること
 発明が出願時において、世の中に知られていない事が必要です。自身が発明者であっても、出願前に発明を公開してしまった場合には、その発明は新規性を失い、原則として特許を受けることができなくなりますので注意してください(例外規定があります)。発明に新規性が要求される理由は次の通りです。
・新規性のない発明は「発明の公開の代償として、特許権を付与する」という特許法の規定に合わないため保護する必要がないからです。また、既に知られた発明に独占権を付与するとかえって企業活動を阻害するため、独占権を認めるべきではないからです。
※新規性喪失の例外規定について
 新規性喪失の例外とは、自己の行為に起因して発明が公知になった場合、公知になった日から6ヶ月以内にその旨を記載して特許出願をすれば、公知にした発明を、新規性、進歩性の判断材料としない扱いを受けられるというものです。従来は、例外規定の適用を受けられるのは刊行物への発表や特定の博覧会への出品等に限定されており、店頭への展示や販売等により公知になった場合は例外規定の適用を受けることができず、適用条件が厳しいという問題がありました。そこで、法改正により、平成24年4月1日以降の出願では、店頭への展示や販売等についても例外規定の適用を受けられるようになりました。
 なお、新規性喪失の例外規定はあくまで例外規定であり、出願前は発明の内容を他人に知られないように配慮する必要があることに変わりはありません。
(4)進歩性があること
 発明に、出願時の従来技術からは容易に思いつくことができない程度の困難さ(進歩性と云います)があることが必要です。進歩性が要求される理由は、容易に思いつくことができる程度の発明に独占権を与えると権利が乱立して、企業活動を阻害するからです。
(5)最先の出願であること
(6)拡大された先願の範囲に該当しないこと
(7)公序良俗に反しないこと
(8)条約に反しないこと

時期的要件
 手続的要件に対して時期的な制約を課すものです。
 ・発明を刊行物に発表した後に、新規性の喪失の例外規定の適用を受けて特許出願をしようとする場合は、発明を刊行物に発表してから6ヶ月以内に特許出願手続きをしなければなりません。6ヶ月経過後に特許出願をする場合は新規性の喪失の例外規定の適用を受けることができず、発明を発表した刊行物によって新規性が否定されることとなります。
 ・審査請求(特許権の取得手続参照)をする場合は、特許出願から3年以内に審査請求手続きをしなければなりません。審査請求期間を経過すると出願は取り下げたものと見なされ、発明が新規性、進歩性等の客体的要件を満たしていても特許を受けることができなくなります。
 ・この他にもほとんどの手続に時期的な制約が課されています。手続の時期を逸すると不利益な扱いを受けることとなりますので注意が必要です。

手続的要件
 所定の方式に従い、所定の内容を記載した書面により手続きをすることが必要です。
 ・特許出願では、願書、明細書、特許請求の範囲、要約書、図面(省略可)を所定の方式に従って作成して、特許庁に提出する必要があります。特許権取得後に権利書の役割を果たす特許請求の範囲には、保護を要求する発明の範囲を記載します。
 そして、発明の内容を開示する役割を果たす明細書には、発明の属する技術分野の通常の知識を有する者(当業者と云います)が特許請求の範囲に記載された発明を実施できる程度に発明の内容を明確に記載しなければなりません。